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銀魂
A
沖田side

公園で見廻りをサボっているとき、万事屋の眼鏡を見かけた。
あり得ねぇくれェ膨らんだスーパー袋を両手に提げて歩いている。
気がついたら、話し掛けていた。
俺ァ面倒くさいのは嫌いなはずなのに。

万事屋の残り2人はいなかったから1人での買い物らしい。
俺は黙って片手の荷物を奪った。
眼鏡が慌てて、自分で持つと言い張っている。
人の好意は素直に受けとるモンだぜィ。
「今は休憩中だったんで」
そう言うと、荷物を肩に担ぎ万事屋へと向かった。

最初は本当に、本当に純粋な優しさだったんだ。
自分よりも小さくてひょろひょろした奴が重そうなもん持ってたら、持ってやるだろィ?
それに、この眼鏡には少し興味があったんでィ。
でも余りに楽しそうに旦那のことばかり話すから、つい言っちまったんだ。

「アンタは本当に旦那が好きだねィ」

そしたらアンタは黙ってしまって、どうしたものかと見てみれば真っ赤な顔をしていて…。
あぁ、コイツは旦那の事が好きだったんだねィ。
何故だかわからないけどその顔を見ていると怒りが込み上げてきた。

今テメェの前にいるのはこの俺でィ。
俺を見なせェ。
俺だけを、見なせェ。
…?
何言ってんでィ、俺ァ…。
これじゃあ、まるで……。
「沖田さん…信号変わりました。行きましょう?」
眼鏡が俺から目を逸らして言った。
俯いた顔はまだ耳まで赤い。
「…ちょっと此方来なせィ」
「え?ちょ、沖田さん!」
眼鏡の手を掴んで路地裏へ引っ張り込んだ。
確かこの辺りに、昔過激派が潜伏していた廃墟があったはず…。
当時の記憶だけを頼りに、薄暗い路地裏を進む。

あ、あった。
暫く歩くと、目当ての建物を発見。
一番奥の部屋へと迷わず歩を進める。
そして眼鏡をその部屋に引きずり込むと、壁に押し付けた。
「痛ッ…」
痛みを耐えているような表情に、ぞくり…鳥肌がたつ。
怯えきった眼鏡――新八と目が合う。
「沖田さん…?」

瞬間、噛みつくようなキスをする。
何度も、何度も、角度を変えては激しく噛みつく。
漸く顔を離すと、蕩けた表情の新八が見上げてきて目が合った。

俺の目に何を見たのか、新八が動揺する。
「…ッ!」
もう、戻れない。


続きます。
銀←新←沖、シリアス的な。
嫉妬してるんだけど、それに気づかない沖田くん。


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